真っ当な頑固さ<br> - 好きを形にした革製品 -

真っ当な頑固さ
- 好きを形にした革製品 -

革絞りという伝統的な技法と、3Dソフトでの型設計・加工を掛け合わせユニークな手法で革製品を製造・販売しているcolmdesign。代表の成田さんは、生まれ育った富山の地にUターンして「colm」というオリジナルブランドを立ち上げた。

 

ずっと何かを「つくる」が好きだった

プロダクトデザインの仕事を続けてきた成田さん。

幼少の頃は意外にも、白球を追いかけた高校球児だった。
野球の道を引退し、これからの将来を考え始めたとき、おもむろに学校の図書館で職業一覧が記載された本を手に取った。

その本を眺めながら、自分はどんな道を選ぶべきかぼんやりと考えていると「図画工作が好きで、人がつくったものを自分が上手くつくれないときは悔しさを感じるくらい、つくることが好きだった」ことを思い出す。

そこからプロダクトデザインという仕事に興味を持ち、大阪の専門学校へ。

「曽祖父のタンスを覗くと、古い時計や万年筆があって。ブランドものとかじゃないけど、丁寧に長く使っているさまを”かっこいいな”って感じたんですよね」何気なく興味を持ったプロダクトデザインという仕事は、成田さんが幼少から感じる感覚を表現する仕事だった。

 

純粋にプロダクトをデザインすることの難しさ

成田さんが純粋にやりたかったプロダクトデザイン。ただそれは、様々な現実と直面する経験から始まった。

専門学校を卒業し無事プロダクトデザイナーとしての道を歩むが、新卒で入社した金属加工メーカーは数ヶ月で倒産。

しかし、その後入社したプロダクトデザインの企業では、自分たちでブランドを立ち上げるなど想いをカタチにする仕事が出来て充実した日々を送った。そんな中、顧客の要望を形にするクライアントワークでは、自分の手を離れたあとに、自分の意図とは異なった形で変わっていっていくさまに、違和感を覚え始めた。

「自分で手綱を握ってないと、リスクに感じてしまう。ここでやりたいことや願望が満たされていたらcolmを立ち上げていなかったかも知れないですね」

プロダクトデザイナーとしての仕事の難しさも経験した。

 

幼い頃の感覚や現在まで培った“こうしたい”を表現する

「プロダクトって、お客さんが自分の大切なお金を使ってまで『買いたい』と思ってくれるもの。なので、ちゃんとしたものを届けたかったんです」そんな想いで、生まれ育った富山の地で革製品を取り扱うcolmdesignを立ち上げた。元々、革製品は前職で立ち上げたオリジナルブランドでも取り扱っていたので良さを認識していたが、

「良いものをメンテナンスしながら大事に使う。革製品にはそんな良さがあると思う」

という、成田さんの“ものづくり”に対する考えが表れた選択だった。

そして、この選択は、幼い時に曽祖父の腕時計や万年筆を手に取ったときの”かっこいい”という感覚が根底にあった。

前職で取り扱う中で知っていた“革絞り”という技法を取り入れた。

一方、コストのかかる型づくりは通常で行う木製という手段をとらず、3Dソフトで設計・加工する異色の手法を掛け合わせた。

「大量生産大量消費が“悪”のように語られることもあるが、プロダクトデザイナーの仕事って良いものを沢山届けることにも大きな価値がある」
そんな想いがあったからだ。

もちろん、革を裁断したり、プレスして成形する工程などは手作業。”良いものを”という部分はぶらさなかった。成田さんの幼少期の感覚や、プロダクトデザイナーとして経験した様々な“こうしたい”という想いは、colmdesignのプロダクトに詰め込んだ。「頑固なんでしょうね」と成田さんは自分のことを語ったが、そこには自分に正直に、顧客に正直に、真っ当にものづくりに向き合いたいという自然体の姿があった。

 

これからも目指すことは、真っ当に「試みる」

「colm」というブランド名の由来は”試みる”を文字ったもの。

富山には多数の伝統的なものづくりを行う職人が存在しており、今後はそことのコラボレーションなどにも思いを馳せる。

「これからも真っ当な“ものづくり”をしたいと思ってます。自分が良いと思ったことは回り回って返ってきますから」

成田さんが語るものづくりへの想いは、終始ぶれがなかった。


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