ご縁を大切に<br> - 繊細なデザインの木製小物

ご縁を大切に
- 繊細なデザインの木製小物

旭川で1976年に創業されたササキ工芸は、機械加工だけでなく手加工による仕上げを行った木製小物の製造と販売をしている。2代目社長の佐々木雄二郎さんは、創業者である父の残したDNAを引き継ぎつつ、佐々木さんの価値観を強く反映したモノづくりを行っている。「北海道を代表する企業100選」にも選出されたササキ工芸の佐々木さんが、ずっと大切にしている事とは。

 

モノづくりの最前線にいる社員はパートナー

ササキ工芸は当初、家具製造の下請けをしていたため、今も細かい加工が得意。その得意領域を活かし、自社ブランドの製造販売も行っている。

「材料である木は、一つ一つ表情や性質が違う。同じように機械で加工しても仕上がりが全然違うんです。だから、最後に一つずつ手加工で仕上げている。日本製ならではのモノづくりを行っています」そうしたササキ工芸の繊細なモノづくりを支えているのは、もちろん社員の方々。そんな社員に対して、佐々木さんは、あらゆる取り組みを行ってきた。

「まずやったのは働き方改革。残業を禁止し、休みを増やしました。家具業界は古い業界なので、土曜日に働いているところもあるが、うちは今は完全週休2日制になっています」

それ以外にも、社員への権限移譲を進めたり、国内外への出張機会や他社の工場見学を増やしたりしながら、社員へ学習機会を提供している。

「社員はパートナーだと思っています。だから大切にしたい。社員とも一期一会の出会い。ササキ工芸で働いてくれて、ありがたいです」

 

人との縁への感謝

佐々木さんが社員を大切にしているのは、人との縁に感謝をするという価値観があるからだ。

「これまで出会った人に、私の人生の分岐点で導いてもらっていた気がするんです。だから、企業理念にも入れたのですが、人とのご縁に感謝するという事を大切にしています」ずっと柔道をやっていた佐々木さんは、高校時代、全国優勝を経験したことのある柔道部に所属していた。

「練習も厳しく理不尽な事も多くて、正直辞めたいと思ったこともありました。ただ、助け合い、切磋琢磨できる仲間がいたから、続けられました」

当時の仲間とは、今でも仲が良いという。佐々木さんは昔からずっと、人との縁を大切にしてきた。

「小さい頃から、両親が共働きで家にいなかったので、寂しかったのかもしれないですね」

等身大の人としての佐々木さんの言葉に親近感を覚えた。実際にお会いした時にも、その言葉や表情から、心の優しい経営者だということを、真っ直ぐに感じ取ることができた。

 

社員が誇らしく思える会社にする

佐々木さんは、地域の人々との縁も大切にしている。

「例えば『イベントをやるから急ぎで小物を作ってほしい』という地域からの要望があった時は、納期や採算は多少無理をしてでも、対応しています」

特に納期への柔軟さは、ササキ工芸が分業ではなく、社員1人が1つの商品を最初から最後まで作り上げるという製法だからこそ成せるのだという。

「分業を進めると、外注するということが起きる。そうすると、クオリティや納期がコントロールしづらくなる」

この製法は、佐々木さんの父の代から続いており、地域やお客さまの期待に応えるという価値観は、ササキ工芸のモノづくりの根底にあるものだ。

「地域から必要とされているという使命感がある。迅速であること、とか、小物を作るということは、”うちにしか出来ないこと”だと思います」これは、インタビューに同席をしていた社員の阿部さんの言葉。脈々と受け継がれてきたDNAを体現するような社員だ。

「どれだけ会社の利益が出てても、地域の人々に嫌われている会社だったら、そこで働いている人も嫌な思いをしますよね。だから、社員が”ササキ工芸で働いている”ということを、地域に対しても誇れるような会社であるべきだと思ってます」

佐々木さんの穏やかな表情の裏にある強い覚悟を感じた。

社員や地域にいる人との縁を大切に、モノづくりをしているササキ工芸。木製小物をみた時に感じたのは、洗練されたデザインを表現するモノ自体の繊細さ。これは人との縁を大切にするために必要な”思いやる心”が、モノづくりを通じて商品にも反映された結果なのだと思う。

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