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混じり気のない感情<br> -地元素材のアロマ -

混じり気のない感情
-地元素材のアロマ -

日本三名山の一つ「白山」を有する石川県白山市で、2018年に創業されたしんち林業。社名の通り林業を生業としている。

創業者の奥様である進地由佳さんは、初めてご主人の仕事を手伝った時の体験を機に、地元白山の素材で作るアロマの商品企画を始めることになった。

進地さんがアロマを通じて届けたい想いとは。

 

”感動”を生み出すために動く

進地さんは、しんち林業の手伝いで初めて山に入った時、これまで味わったことのない体験をした。

「木を伐採した後に片付けを始めた時、とんでもなく良い香りがしたんです。山や木は身近な存在でしたが、これまでの自分が知っている木の香りではありませんでした」

伐採した後にしか感じることのできない”香り”がそこにあった。

「こんな香りがあるんだと感動し、何度も深呼吸しました。そして、この香りをいろんな人に伝えてあげられないかなと思ったんです」

そう考えた進地さんは、すぐに行動する。まず、伐採した後に出る産業廃棄物のチップ(木を粉砕したもの)に着目した。「木を1本切ると何トンものチップが出て処分される。もったいないなと思ったんです。あの香りを伝えるために、これで何か作れないか調べてみると、木からアロマを作ることができることを知ったんです」

既に、木からアロマを作っているメーカーが富山にあることを知った進地さんは、製造方法について話を聞きに行った。

「これなら出来るかもと思いました」

こうして、しんち林業のアロマの商品開発は始まった。

 

やるからには”本物”を

「試作を始めた最初の頃は、本当に臭かったです‥‥」

笑いながら、そう話す進地さん。

「何十回も試作をして、ようやく納得できる香りができました。ただ、まだ私が感動した香りと全く一緒ではないので、今も毎日思考し、試作を繰り返しています」進地さんのこれまでのキャリアはメーカーの内勤職と通信会社の営業職で、モノづくりは初めてのこと。

「自分がモノづくりをするなんて想像してなかったんです。だけど、やるからには本物を作りたいんです。妥協はしたくない」

実は、進地さんのご実家は桐の箱を作っているメーカー。

「いつも忙しそうに働いている両親でしたが、決していい加減な仕事はしてなかった。同じモノづくりをするようになってから、本当にすごいなと思います」

幼い頃から、そんな両親の姿を見て育った進地さんにとって、”本物”のモノづくりにこだわることは、当たり前の価値観なのである。

 

自分が良いと思うものを自ら作り出す

モノづくりも、アロマも、素人の進地さんだったが、外部に製造を委託するということは全く考えなかったという。

「自分が理想とするモノを自分の手で作りたい、という思いが強いんです。作るのが好きなんだと思います」

商品を作るプロセスそのものを、心から楽しんでいることがよく伝わってきた。「小さい頃は、自分が理想とする味のケーキやクッキーを作りたくて、毎日、試行錯誤しながら作ってました。両親には『毎日、こんなにケーキやクッキーばかり食べられない』と怒られてましたが‥‥」

進地さんは「自分がモノづくりをするなんて思っていなかった」と繰り返していたが、つくり手としてのDNAは、昔からずっと持っていたのだと思う。

- そんな進地さんが香りに込めた思い -

「地元の木と水を使って作った香りを通じて、白山の山を感じてほしい」

”自分が良いと思ったモノを自分の手で作る”という純粋で混じり気のない感情で、アロマを作っている進地さんの想いと白山の自然を、香りと共に感じてみてほしい。