
東京都に本社があるアロットオブは2015年に創業したファブレスメーカー。
創業者の立山善規さんが、雑貨業界で長年モノづくりに携わってきた経験を生かして起業した会社である。
立山さんがモノづくりに携わる中で大切にしてきた”人への向き合い方”が、アロットオブのモノづくりの根底にある。
やりたいことに全てを注ぐ
立山さんは、千葉県で生まれ育った。
「地元の高校を卒業したあと、美術大学でデザインを学んだんですが、高校も大学も直感で選びました。いろんな学校を受けたりはしなかったですね」
そこには母親の影響があったという。
「母からは『行くところは一つしかないのだから、たくさん受けてもしょうがない』と言われてました。自分が本当に行きたいと思う学校や会社に行くために、全力で取り組めってことですね」
そして、大学卒業後は雑貨OEM会社へ進路を決め、働いた。
「その時に関わった、ノベルティーの中でには、あるブランドの第一回目の東京ガールズコレクションで配るノベルティーもありましたね」
立山さんは、それ以外にも有名ブランドのノベルティやパッケージを数多く手がけた。
自分がやりたいと思うことを全力でやりきった結果、得た成果である。
みんなで同じゴールを見る
プロダクトデザインの領域で実績を残した立山さんだったが、少しずつ心情に変化が生まれた。
「OEMのデザインをずっとやっている中で、もっと消費者に近いところで働きたいと思うようになりました。OEMは直接の取引先であるメーカーの要望ありきですが、その先にいる消費者が持っている本質的なニーズに興味が出てきたんです」
この心情変化をきっかけに転職活動を始め、株式会社Francfranc 入社(旧 株式会社バルス)へ転職した。
「プロダクトデザイナーとして入社したのですが、しばらくすると、家電・照明のバイヤーのポジションが空き、任されることになりました。その後は、国内と海外の商品開発や雑貨全てを統括するポジションまで任せてもらいました」この時に、アロットオブのモノづくりにも通ずる大切なコトを学んだという。
「小売製造業は、作る人もいれば、それを売る人もいるし、もちろん総務や人事もいる。大切なことは、事業に携わっているみんなが同じゴールを見据えれば、みんなのポテンシャルを最大化できるということ。それができることで、結果として売上が上がっていた」
組織で成果を出すために大切なことを学び得た立山さんは、それまでの経験をもとにアロットオブを創業した。
共に働く人の心を豊かにする
そんなアロットオブ・立山さんが大切にしていることとは何か。
「香港駐在していた時に、日本でしか作れないモノがあることを実感しました。海外にはない日本の良さがあり、伝統的な技術を持っている産地がある。だけど、それぞれが独立しているように感じました。私たちは外部から関われるからこそ、1つのブランドコンセプトを元に、産地と産地を掛け合わせた商品開発をすることもできます」
アロットオブのブランドであるKIKIMEを通じて、日本の良さや技術を、世界へ広げて行きたいと考えているのだ。
「業界全体をどうしていくのかという視座を持ちつつ、自分たちが楽しいと思えるかどうかも大切にしています。仕事にかける時間は決して少なくないので、仕事が楽しくないと人生が楽しくなくなる」
一緒に仕事をする人たちの心を豊かにしたいという立山さんの意思を強く感じた。
「社員もクライアントも一緒に仕事をする人が”作業者”にならないように、自分だけでは出来ないことを支援したい」
共に働く人の心も大切にしたモノづくりを行っているアロットオブが作るモノは、きっと使う人の心も豊かにしてくれるのだと思う。