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気遣いと優しさ<br> - 普段使いの一点物の木製食器 -

気遣いと優しさ
- 普段使いの一点物の木製食器 -

総面積の75%を森林が占める兵庫県の丹波地域。その丹波で1925年に創業されたイクジウッドは、製材業と一級建築士事務所を営んでいる。3代目社長の足立成人さんは、ある想いがあり、一点物の食事用の木のプレートなどの自社商品の開発に着手した。インタビューを通じて感じたのは、足立さんの人への気遣いと優しさ。そんな足立さんの原点と、今の自社商品の開発に至った背景を伝えたい。 

自分1人で頑張ってきたわけではない

絵を描くのが好きだった足立さんは、大学で建築を専攻し、卒業後は大阪の建築会社へ就職した。5年が過ぎようとしていた時、2代目社長だった足立さんの父が脳梗塞で倒れたという連絡を受け、急遽、家業を継ぐことになった。

「当時は、製材業のことが全然分からず、父親は病気だったため聞くことができなかった。見積もりの金額の決め方も木材の品定めの仕方も分からなかった時、助けてくれたのは製材業を営んでいる他の会社の方々でした」

製材に関わる仕事をしている人たちは、若い時はみんな、別の会社のベテランの人に木材のイロハを教えてもらいながら、仕事を覚えていくという。当時、右も左も分からなかった足立さんを助けてくれた人たちは、きっと足立さんの祖父や父が、同じように助けてあげた人たちだったのだと思う。

 

「若い時、どうしてもセリ市で落としたい木材があったが、高くなりすぎて落とせなかったことがありました。だけど、受注した商品を納品するためには、どうしてもその木材が必要だったんです。だから、ダメもとで落札した人に譲ってもらえないかお願いしたら、気前よく『ええ木やから、儲けぇや!』と言って譲ってもらえたことがあった。その木材を使えば、その人も絶対に儲かったはずなんですけどね」

木材に関わる人たちは、自ら受けた恩を別の方へ返していく、ということを自然とできる人たちが多いという。現代社会では、感じづらい”ビジネスでの人の温かみ”のようなものを感じた。

 

同業者や先人、そして山への気遣いと優しさ

近年の製材への需要低下を受け、新たな収益源を作らなければならないと思った足立さんは、既存事業の製材業で積極的に営業するのではなく、これまでやってこなかったBtoCの自社商品開発を行うことにした。「自社の製業の売上を積極的に伸ばしにいくということは、他の同業者の仕事を奪っていくことになる。だけど、自社の商品開発を行い、BtoCで売上を伸ばすことができれば、BtoBをやっている他の同業者との仕事の奪い合いにはならないので、誰も困らない」

足立さんの気遣いは、同業者だけでなく素材や製材業のこれまでを支えてきた先人に対しても表れている。

「自社商品の素材は、あえて品質が揃いづらい広葉樹を使っている。広葉樹は製材業では扱いづらい素材だけど、木目や木の皮も一つとして同じものがなく個性が強いんです。だから、1点ものの商品を作ることができるんです」

広葉樹の需要が高まれば、広葉樹を伐採した後に、針葉樹ではなく広葉樹が植林されるようになり、山が豊かになるとおっしゃる足立さん。なぜ、そこまで山を大切にしたいと思えるのか。

「日本国土の大半が山。その山を資源に変えるのは、木に携わっている自分たちの役割だと思うんです。何よりも、しんどい思いをしながら、今の山を作ってくれた先人たちの苦労を無駄にしたくないんです」

 

大きな優しさの原点は母の教え

足立さんの価値観を形作ったのは母の教えだった。

「昔は、自宅に山行きの職人さんが泊まり込みで働きにきていた。その時に、母は必ず茶碗に目一杯ご飯を盛っていた。理由は、職人さんは、親方(祖父)の家で『おかわり』って言いづらいだろうから、おかわりしなくてもお腹一杯になるように、と気遣っていたんです。自分が社長になった時も、母からは休憩時間に仕事をしていると『必ず休め』と言われた。社長が休まないと社員が休みづらいという母の思いやりでした」そんな足立さんが自社商品で目指す世界観。

「家でお酒を飲む時、友達が来た時、などに使って楽しい会話が増えると嬉しいです」

個性豊かな広葉樹をイクジウッドが作る商品は全てが一点物。上記の言葉には、一点物だけど、”普段使い”して欲しいという足立さんの想いが込められている。

イクジウッドの商品を通じて、大量生産品にはない味わいと、足立さんの優しさを感じてほしい。