自然体な明るさ<br> - 手入れ感を追求した革手袋 -

自然体な明るさ
- 手入れ感を追求した革手袋 -

国内の手袋の生産シェア9割以上を占める香川県東かがわ市で、革手袋の企画・製造と販売を手がけるクロダ。1977年に黒田俊英さんが設立し、2008年に経営のバトンは棚次(たなつぐ)啓二さんに受け継がれた。2代に渡る経営の中で脈々と受け継がれているクロダのモノづくりのこだわりは、”手袋に手を入れた時の気持ちよさやストレスのなさ”を追求すること。現社長である棚次さんは、経営環境が大きく変わっている大変な環境下でも、棚次さんらしく”明るく”クロダのモノづくりを推進しようしている。 

他とは違うことを、徹底的に

棚次さんは、高校を卒業後に一度高松で就職した後、地元である東かがわ市で働きたいと思い、クロダへ転職した。

「創業であり現会長の黒田は、とにかくパワフルで、『周りの会社と同じことをしていてもダメだ』とよく言っていました」

クロダは手袋の中でも高級路線である革手袋へ特化し、また1986年、当時では珍しかった海外への生産拠点設立も行った。OEMを中心に順調に生産量と売上を拡大していった。ただコロナ前あたりから、これまでの大量生産・大量消費とは異なるマーケットの変化を感じ始めた。

「ビジネスの形態を変えなければならないと思い、今は自社のブランド開発を進めています。ただ、レザーに特化した手袋専業のメーカーであることと、”手入れ感”(=手袋に手を入れた時の気持ちよさやストレスのなさ)を追求するという事は絶対に変えません」

その”手入れ感”を追求するために、イタリアから直接仕入れているレザーには”クロダの革手袋”のためのパタンナーの技術が詰め込まれている。そして、”クロダスペシャル”と呼ばれる独自の製造技術があり、イタリア以外の全ての工場で導入されている。

「手袋の型も、40年以上クロダに勤めている職人が作っています。手の形は、年代によっても微妙に変わるので、機械ではなく職人が作ることによって、より手に馴染むし、見た目が綺麗に仕上がります」

こうした細部へのこだわりが、自社ブランドの開発を進める上で、他社との差別化に繋がる。

 

1から作るモノづくりの醍醐味

棚次さんは、2代目社長ではあるが創業者の黒田さんとの血縁関係は全くない。叩き上げのサラリーマン経営者だ。

「今でこそ20名弱の社員がいますが、私が入社した当時は社員数7〜8名でした」

入社して7年は生産の現場で働き、そのあと営業へ異動した。

自社ブランドの開発を進めている棚次さんには、過去の成功体験からくる想いがある。

「昔は、『自分で手袋のデザインを書いて、実際に作って売り込む』ということをしていました。失敗もたくさんしたけど、とある百貨店で売上No1を取ったこともあるんです。これがすごく楽しいんですよね」

企画から販売までを一貫して行うことができるのがモノづくりの醍醐味。棚次さんは、それを今のクロダの社員にも経験して欲しいという。「社員にも成功体験を積んで欲しいし、そういう仕事の進め方がクロダで働く醍醐味だと思うんですよね」

 

フラットに向き合い続ける

棚次さんは社員の目線を大切にしている。「元々、僕も社員として働いていたから、社員に近いと思う。今も社員と同じ場所にある席に座って仕事をしています。そうすると色んな声が聞こえてくるんですよね」

インタビューに同席していた経営企画部長の佐竹さんは言う。

「棚次は、社員に優しいですね。社員のことを色々考えてくれる、決して威張らない経営者ですね」

棚次さんは、昔から明るく賑やかな環境が好きだったという。

「そういう環境を社内に対しても求めてしまうんですよね。パソコンのタイプ音だけがなっている静かな環境だと寂しいですよね。雑談でも何でも明るい環境の方が好き。話しやすい雰囲気の方が、人と人のコミュニケーションが取りやすいですしね」

棚次さんと佐竹さんの会話からも、社長と社員の距離を近さを強く感じた。

「自社ブランドの新たなビジョンを社員と議論している時に、クロダのこだわりである”手入れ感”などは、社員も大切にしたいと思ってくれている、ということに改めて気づいたんです」クロダの新たなビジョンは”手に喜びをまとう”。

製造工程を見に行った時、それぞれの職人さんが素材の革ひとつひとつと、まるで対話しているかのように、じっくり丁寧に仕事をしていたのが印象的だった。

”手に喜びをまとう”ためのクロダのモノづくりは、現場で働く一人ひとりが、商品の細部まで気を配ったモノづくりだ。

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