
1914年に大阪で創業された大阪銘板は、プラスチック射出成形の技術を生かし、自動車や家電に使われる部品の製造・販売を行っているメーカー。
BtoBがメインの会社だが、その中でBtoC向けのプロダクト開発を行なっている霜里茉李江さんと宮永彩花里さんは、2023年に自社ブランド「soem」を立ち上げた。
大阪銘板という会社の想いに、ブランドを立ち上げた二人ならではの想いが加わり「soem」は生まれた。
人のために、人を大切にする
霜里さんは、2014年に中途で入社をした。
「入社を決めた理由は、自分で考えて仕事を進めることができそうな会社だと感じたからです。元々、考え方を押し付けられるのが苦手なんですよね。自分で判断して、納得した上で動きたいんです」
実際に入社してからも、GAPはなかったという。
「0→1をやる部署でありつつ、社内にはBtoCの事業をやったことがある人はいなかった。本当に手探りで、自分たちで考えながら仕事を進めてきました」
一方、宮永さんは、2019年に新卒で入社した。
「大学の学内就活セミナーに参加していた弊社の社員同士の雰囲気を見て、風通しが良さそうだなと思ったのが入社を決めた理由でした。今も部署を横断するプロジェクトが色々立ち上がるのですが、若手でも意見を言いやすいなと感じています」
こうした社風には、大阪銘板が大切にしている想いがある。
「弊社には『最高経営方針』や『大銘経営四則』があります。この中には、『人を生かす企業であること』、『大きくするより、良い会社にしよう。』などの理念が書かれてあるんです。社員を含めた『人』を大切にする文化があります」
100年以上の歴史を持つ大阪銘板のこの想いが「soem」立ち上げを下支えしているのだと感じた。
心や感情にもこだわる
霜里さんは「soem」に込めた想いを語ってくれた。
「機能的な価値だけではなく、『心に響く』というような情緒的な価値も提供したいんです。ブランドに携わっているメンバーも、工芸品や手仕事が好きな人ばかり。弊社も工業製品を製造してますが、機械だけではなく、人の手をかけて作っているんです」
その情緒的な価値に対して、宮永さんらしい想いもある。
「自分がしたことで、人が笑ってくれたり、喜んでくれたりすると、すごく嬉しいんですよね」
そこには、宮永さんの幼少期の原体験がある。
「両親は真面目で冗談を言うようなタイプではなかったんです。ただ、幼いころに、自分がおどけたことで、両親が笑ったり喜んでくれたことが、嬉しかった記憶があるんですよね」
モノだけではなく、無形の部分も大切にしているのが「soem」なのだ。
心をそえることで生まれるやさしさ
そんな「soem」には、”やさしさ”というキーワードがしっくりくる。
「『soem』は、”心をそえる”ということを大切にしてます。親しい相手に心を寄せたり、寄り添わせるということで、それにより日常生活の中で、心が豊かになったら良いなと」
それはプロダクトの素材選びにも反映されている。
「プラスチックはインテリアとして日常生活に馴染まないのではないかと思われることもあります。なので、風合いや見た目、手触り感が、日常生活に馴染みやすい、日々の暮らしを豊かにするような素材を選ぶようにしています」
また、”やさしさ”は人だけに向けられているものではなかった。
「環境にも優しい素材を選んでいます。弊社は、使い捨ての製品ではないですが、プラスチック製品を作っています。環境への配慮は、プラスチックに携わる者としての責任だと思うんです」
soemは、人にも地球にも、優しくあろうとしているのだ。
インタビュー中の二人の雰囲気からは、お互いを尊重するスタンスを強く感じた。
「『soem』を通じて幸せになる人を増やしたい。それを実現するためにも、まずは自分たちの身近にいる人から大切すべきだと思っています」
これからも「soem」は、大阪銘板の理念に、霜里さん・宮永さんの心がそえられ、創り上げられていくのだと思う。