
1997年に大阪で創業されたキプロは、医薬部外品や化粧品などのメーカー。
貫井暢彦さんは、入社して数年後に自社ブランドの「HOLO(ホロ)」を立ち上げた。
貫井さんの”人の生き方に対する価値観や想い”が起点となり作られた「HOLO」というブランドの本質を伝えたい。
部分ではなく、全体を見る
貫井さんは、大学までずっとラグビーをやっていた。
「祖父と父がラグビーをやっていたこと、そして体が大きかったこともあり、幼稚園からラグビーを始めました」
「ラグビーは自分の個性を表現できるスポーツ。体が大きい人もいれば、小さい人もいる。足が速い人や気持ちが強い人。そうした個性が生かせるポジションがあるスポーツなんです」
そして、ラグビーの存在は貫井さんの価値観に大きく影響している。
「一部分を見るのではなく、全体性を意識することが大事だと学びました。個性はネガティブな部分があるかもしれないけど、そこだけを見るのではなく、全体を見ることで必ずその個性を活かすことができる。だから、どんな人にでもいろんな可能性があると思っています」
その根底には貫井さんご自身の原体験もあった。
「幼少期、親や先生から『あなたのここがダメだから、もっとこうしなさい。とか、こうしなければならない』と言われることが多かった。そこにいつも葛藤がありました。
そういう意味でラグビーは、ありのままの自分で向き合えたスポーツであり、ありのままの自分で良いと思えるきっかけとなりました」
こうした原体験から得た価値観が「HOLO」の思想にも宿っている。
ありのままを受け入れる
貫井さんは、HOLOを通じてまずは自分の体や内面に矢印を向けて、ピュアな自分を感じてほしいという。
「今の自分のままで『良いんだ、とか、大丈夫だ』と思える人がもっと増えてもいいと思う。それぞれの個性や価値観を認めあい、自分の尺度を大切にし、自分自身の心と体の声に耳を傾けて、精一杯生きる。そんな人を応援したいと心から思っています」
貫井さんの言葉と表情から、本気の想いが強く伝わってきた。
「社会に出ると、しがらみや誰かの目が気になることが増えますよね。そういうのを取っ払って生きていけたら良いと思うんです。良いとか、悪いとかではなく、全てを受け入れ、表現することができたら良い」
その思想は、モノづくりの細部にも反映されている。
「とにかくピュアにこだわっています。生産者の想いや成分なども表層的なものではない、本当の価値を持ったものを軸にモノづくりをしています。また、すべてのアイテムに描かれている色々な形のモチーフは、自分の中にある様々な気持ちや、全体の中の個性を表現しています」
色んな価値観や個性があり、一つの輝きになっていることを体現しているのだ。
本当に想っているから、徹底的に向き合う
実は、貫井さんご自身も幼少期の頃からアトピーに悩んでいた。
「一番最初に作った保湿クリームを作るきっかけは、娘が生まれたことがきっかけでした。私の遺伝もあり、娘も同じように肌トラブルが多かった。肌が未成熟な状態からしっかりとスキンケアをすることで、健康的な肌の土台をつくることが必要だと考えました。だから娘の将来へのギフトになればという想いと、自分でも使いたいと思える商品を作りたいと思ったんです」
だからこそ「HOLO」は商品の原料選びにも、こだわっている。
「私は市販のクリームが、ほとんど合わなかった。なので、自社で作る商品の基礎となる基材は、20年〜30年のヒトパッチテストで実績が証明されているものの中から、特に肌への刺激が少ない基材を一次選択します。その上で、更に自分たちやモニターさんに協力していただき、試作を繰り返し『これはいける』という成分しか使いません」
肌にダメージを与える基材をベースにすると、そこにどんなに肌に良いとされる有効成分を付加して商品を作っても効果がないということだ。
徹底してこだわったモノづくりを行っている貫井さんだが、こだわりはモノづくりだけではない。
「HOLOは、コミュニケーションも大切にしています。例えば、産後3ヶ月くらいのママさんに向けてスキンケアや食育について話し合う場を設けたり、肌以外のことも含めて、それぞれが抱えている色んな悩みについて話しをする機会をつくっています。そして、その悩みに対して寄り添い、何かできることはないかを考えるんです」
本気で思っているからこそ、単にモノを作って売るだけで終わらないのが「HOLO」なのだ。
明確な原体験から生まれた想いがあるHOLO/貫井さんだからこそ、それは今後も決してブレることなく進み続けるだろう。